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グルメ Gourmet

【富山の名店】富山の食文化を切り拓いた3店のパイオニア

 その昔、富山の食文化に新しい風を吹かせた先駆者たちがいました。情報も乏しく、1つの食材を仕入れるだけでも大変な時代。馴染みのない味を受け入れてもらうために重ねた工夫。巣立っていった数々の料理人たち……。時代を切り拓いた3店の挑戦を振り返ります。


◆目次◆
FIORE DI FARINA(フィオーレ ディ ファリーナ)

・ ・ ・ ・ ・

フランス料理 レストラン小西


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「ディナーコース」10,000円~/前菜2品、スープ、魚料理、肉料理(数種から選択)、デザート、コーヒー。 写真は「ディナーコース」(10,000円)の一例。
一晩赤ワインに漬け込んだ和牛テイルを特製ソースで煮込んだ「テイル・シチュウ」。ほろりとほぐれるやわらかさで、季節を問わず人気が高い。

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富山の人と食材への感謝を胸に
フレンチの神髄を伝える

 『レストラン小西』が開業してから半世紀以上が過ぎています。フランスの美術館で買い求めたというピカソ、マティス、レジェなどの絵画が飾られた店内には、現地を思わせる雰囲気と歴史を重ねた風格が漂います。
 小西さんが料理の世界に入ったのは高校時代。修業を始めた東京のフランス料理店には、首相官邸の元料理長やフランス帰りのシェフなど、そうそうたる顔ぶれが揃い、クラシックから最先端までのフレンチを間近で見ることができ大きな財産になったそう。開業後は30年にわたり、毎年フランス各地を食べ歩き、料理の勉強を続けました。いつしか、「フランスの料理人が富山に住んだら、こんな料理を作るのではないか」という考えのもと、富山の旬の山海の幸を最大限に生かすようになったそうです。
 メニューは、昼夜ともコースのみ。食材の無駄をなくし、いろんなフランス料理を紹介したいとの想いから。「変わらないもの、変えてはいけないものはあると思う」と話す小西さんが作るのは、クラッシックなフレンチ。店の定番は、牛テイルやタン、ホホ肉などの赤ワイン煮込みで、手間を惜しまない美味にファンが多いです。ハード系のパンは4、5種類を毎日焼きます。
 近年は、記念日や誕生日などお祝いの席に加え、「故人が、ここの料理が好きだったから」と法要での利用も増えました。小西さんは、「何代にもわたりお付き合いできるのは、店を長く続けてきたからこその喜び。育ててくれた富山の人の温情と豊かな食材に感謝している」と今日も厨房に立っています。


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「甘鯛の白海老ムース詰め 手打ちパスタ添え」。すり身にした白海老に生クリームを加えてムース状にし、甘鯛で包んで蒸し煮に。※10月末ごろまで

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フランス料理店 レストラン小西
富山市堤町通り2-3-18
TEL:076-425-5021
営:10:00~22:00 ※完全予約制
休:月曜
P:4台
席:テーブル10席


・ ・ ・ ・ ・

イタリア料理 FIORE DI FARINA


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「フィオーレコース」6,600円/生ハムとサラミの盛り合わせ、前菜2皿、パスタ2皿、魚料理or肉料理、デザート、パン&コーヒー。写真の肉・魚料理は、ディナーコース「フィオーレコース」(6,600円)の一例。
開業時から人気の魚介のパスタ。トマトソースの「ペスカトーレロッソ」。ペスカトーレ用に取ったアサリやハマグリのダシを煮詰めてソースを作る。ランチには、カジュアルに味わえるツルツルとした麺を使用している。

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職人がつなぐ伝統の味
富山イタリアンの原点

 富山初の本格イタリアンレストランとして知られる『フィオーレ ディ ファリーナ』。オーナーの海木さんは、高校時代に初めて食べたピザやパスタに驚嘆し、料理の道に進もうと心に決めたそうです。最初に始めたのは喫茶店でしたが、その後、全幅の信頼を寄せる1人のシェフと出会い、その腕に惚れ込み同店を開きました。
 店は料理人、パン職人、ケーキ職人など専門の職人7人でスタート。自身は調理から離れ、接客とマネジメントに徹しました。まだ「イタリア料理」という言葉さえない、トマト缶一つ仕入れるだけでも大変な時代に、「まず料理人を育てなければ、富山にイタリア料理が広がることはないとがんばってきたそうです。お客さんと自分の興味を満たすため、好奇心で走り続けてきた」と海木さんは振り返ります。開店から34年。同店からは何十人ものシェフが巣立ち、県内外で活躍しています。
 現在、料理からマネジメントまで海木さんをサポートするのは、同店で10年以上働く小林誠さん。代々受け継ぐメニューやソースの作り方は、口伝えで、卒業した料理人から教えてもらったといいます。「調味料にもこだわり、どこかノスタルジーを感じる、誰が食べてもおいしいと思える料理を提供している」と小林さん。
 昼は気軽なランチ、夜はリストランテらしいディナーコースで、大切な人との時間を演出します。若い世代には刻まれた歴史を感じながら、かつてデートで利用した世代には当時を懐かしみながら、富山イタリアンの原点を堪能して。


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栗で育てられたスペイン産豚を約10時間煮込み、やわらかく仕上げた「ガルシアポークのトマト煮込み」。食材のおいしさを生かすため、味付けは塩のみ。

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イタリア料理 FIORE DI FARINA(フィオーレ ディ ファリーナ)
富山市新根塚町1-1-52フィールトゥビル2F
TEL:076-491-5855
営:11:30~14:30(LO14:00) ※ディナーは完全予約制
休:火曜、第3月曜(ディナーは無休)
P:85台(共用)
席:テーブル60席

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新とんかつ


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看板商品の「ロースとんかつ定食」(1,485円)。サクサクの厚めの衣に包まれたジューシーな豚肉の甘みを存分に感じられる逸品。

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戦後復興の時代に生まれた
とんかつの草分け的名店

 昭和20年、沖縄の激戦地から戻った初代・室田清作さんが総曲輪で創業した『新とんかつ』。戦後復興の覇気に満ちた時代に、人々の腹を満たし、活力と勇気を与え続けた草分け的名店の一つです。
 沖縄の人々がよく作っていた豚肉料理にヒントを得て、当時はまだ富山では珍しかったとんかつの専門店をオープン。ナイフとフォークで食べるとんかつは話題を呼び、カウンター20席のみの小さな店は連日のように大行列ができました。自慢のとんかつもさることながら、豪快でユーモアたっぷりの清作さんの人柄もあってか、開店から閉店まで客が途絶えることがなかったといいます。また、多くの弟子たちが同店で修業し県内外へと巣立っていきました。一時には、人口あたりのとんかつ屋の数が日本一と言われるほど、数多くの店が富山に存在していたそう。現在は、2代目の進さんが3代目とともに総曲輪店と太郎丸店の2店舗を展開しています。
 最高品質の油と肉を厳選し、油が肉に極力入らないよう衣の付け方にも細心の注意を払いながら、シンプルで毎日でも食べたくなるようなとんかつを提供。年配客や女性でもペロリと平らげてしまうほど、サクサクっとした食感と後味のよさが特徴。また、「料理は食べるのが5 割、雰囲気を味わうのが5割」と言い、店内の至るところに絵画や工芸品を飾り、心地よい空間と雰囲気を大切にしています。訪れた人々を喜ばせたいという想いもまた先代から受け継がれたこの店の真髄なのです。


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「ミックス定食」(1,815円)。ヒレカツとエビフライ、デミグラスソースが添えられた自家製コロッケが一度に味わえる人気メニュー。

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新とんかつ 太郎丸店 
富山市太郎丸西町2-11-5
TEL:076-424-5785
営:11:30~14:30(LO14:00)、17:00~20:30(LO20:00)
休:火曜
P:25台
席:テーブル38席、小上がり20席


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お店の温かな雰囲気は、Takt11月号「愛され続けるごはん屋さん」でチェックしてください。まだまだ富山の名店をご紹介しています。

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