グルメ Gourmet
【富山のそば】打ち立ての新そばをいただく
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そば処 草の子
天ざるそば 1,700円
つややかで清涼感ある新そばはぜひシンプルな形で味わいたい。まろやかなつゆでつるりとのどごしを楽しんだあとに、定番のエビと旬の野菜を盛り込んだ天ぷらとともにいただける。
新鮮さと清涼感をいただく
多加水のもちもち新そば
朝日町で約四半世紀にわたり愛され続けている『草の子』。誰もが素直においしいと思える二八そばを提供したいという店主がこだわるのは、風味と食感。通常は少し寝かせた冬場のそば粉を冷凍保存し、鮮度を保った状態で年間を通じてそばを打つ。そば殻を取った丸抜きのそばの実を粗めに挽き、粉に水を含ませる水回しで水を多めに加えることで、風味のよいもちもちとした食感のそばに仕上げます。
新そばの時期にはもちろんフレッシュなそば粉で打ち、その清涼感ある味わいを存分に楽しんでほしいと店主。利尻昆布と厚切りの本節、宗田節、サバ節で丁寧にとったダシとしょう油、砂糖、みりんを煮切り2週間寝かせた本返しを合わせたまろやかでコクのあるつゆとともにこの時期だけのそばを堪能しましょう。
創業当時はすり身に間違われたそばがき。いまではわざわざ食べに来る人がいる人気メニューに。そばがきに使う粉は店内の石臼で手挽きする。
上質なそば粉と水で練り上げた自慢のそばがきに自家製餡を合わせた「そばがきぜんざい」(600円)。そばのおいしさをダイレクトに味わえる一品。
天気のいい日は窓から山も望める心地よい店内。壁には店主が修業した戸隠で開催されるそば食い競争で勝利した常連さんの戦利品の大ざるが。
そば処 草の子
朝日町東草野522-4
TEL:0765-83-9541
営: 11:00~14:30 ※売切れ次第終了
休: 月・火曜
P:12台
席:テーブル20席
HP:kusanoko.com
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そば処 大庵
鴨汁そば 1,600円
全国から取り寄せ味を比べ、選んだ埼玉県の農家の鴨肉はふんわりとやわらかく、臭みとは無縁。鴨の脂がそばの味わいを深め、これを目当てに通う常連客も多数。
地元で評判の名店でいただく
打ち立てのそばを絶品のつゆで
創業67年を迎えた、富山市の不二越駅近くにあるそば店。早朝からその日に使う分のそばを仕込み、つねに打ち立てを提供しています。そばのおいしさを最大限に楽しんでもらうために、冷たいつゆと温かいつゆの材料は使い分けています。つゆの要となるダシとかえしには手間隙をかけた調理法で、化学調味料を一切使わずに仕上げるというこだわりぶり。
メニューでは定番のそばに加え、おつまみやお酒も幅広く揃っています。変わらぬ味を求めて三世代で来店する家族がいる一方、SNSで評判を知り訪ねてくる若者や観光客、一人客も増えているとのこと。通年おいしいそばだが、店主が「こし、風味、つやが際立つ」と語る旬の新そばを、『大庵』のこだわりのつゆとともにいただきましょう。
やわらかい鴨肉と風味豊かなかけ汁、長ネギの甘みが絶妙なおいしさの「鴨南ばんそば」(1,600円)。寒い日にぴったりの逸品だ。
落ち着いた雰囲気の店内。小上がりの座敷は、宴会や子供連れの集まりでよく利用される。カウンター席もあるので1人でも訪れやすい。
そば処 大庵
富山市元町1-4-3
TEL:076-423-0325
営: 11:00~14:30(LO14:00)、17:00~20:30(LO19:45)
※平日の夜はコース料理のみ(予約制)、土・日曜、祝日の夜は通常営業
休: 木曜
P:11台
席:カウンター6席、テーブル12席、座敷18席
Instagram:@daian_toyama
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手打ちそば 萱笑
天ぷら蕎麦 1,860円
新そばの香りを楽しむなら、やはり冷たいそば。ここではぜひ店主一押しの大海老天とともに味わえる同メニューがおすすめ。すりたてのわさびはつゆに溶かず、直接そばにのせていただこう。
名水が育む地元南砺の新そばを
店主のこだわり食材とともに
まもなく20周年を迎える福光の『萱笑』。かつてそば嫌いだった店主が長野でそばのおいしさに目覚め、地元にその感動を届けたいと開いた店は、いまや押しも押されもせぬそばの名店です。
ここでいただけるのは酒造りにも用いられる名水に育まれた地元南砺市産の玄そばで作る二八そば。気温や湿度で変わる水加減に配慮しながら丁寧に手打ちされたそばは、ほのかな香りと甘みとともに打ちたての風味が十二分に堪能できます。
12月からはじまった新そばは、さらに香りが鮮烈で、じっくりと寝かしたまろやかなつゆと、そしてすりたてのわさびをちょっとのせてと、新ものならではの味わいを思い思いの形で楽しんでほしいと店主は話します。海老好き店主が創業当時からこだわる、有頭の天然大海老天ぷらもぜひご一緒に。
地元豆腐店の湯葉と天然きのこがたっぷり入った「あんかけそば海老天付き」(2,050円)。きのこの食感と風味のよさを存分に味わって。
希少な天然大海老は天ぷらがおいしいと店主。米粉の衣をつけ菜種油で揚げることで軽やかな仕上がりに。うまみたっぷりの海老とそばは相性抜群。
古民家を改装した店内は広々として温かみがある。合鴨ローストやゆば刺しなどそば以外の料理も充実しているので、いろんなシーンで楽しめそう。
手打ちそば 萱笑
南砺市福光6771
TEL:0763-52-5033
営: 11:30~14:30(LO14:00)、 17:00~20:00(LO19:30)
※土・日曜、祝日の夜は17:30~ ※売切れ次第終了
休: 火曜、1/1~1/3
P:なし
席:カウンター4席、テーブル25席、個室8席(要予約)
HP:kayasyo.com
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生粋手打蕎麦 市川
極(きわみ) 1,150円
南砺市城端産と信州産のそば粉を合わせた、香り極まる数量限定のそば。噛みしめると口いっぱいに香ばしさが広がり、何とも言えない甘みがやってくる。ほかのざるそばも+180円で「極」に変更可。
香ばしさと甘みとのど越しと
大地の贈りものを手打ち十割で
脱サラし、富山市民病院近くに店を構えてから四半世紀。店主の市川勝博さんは、せっかく栄養価が高くて味の良いそばにつなぎ粉を使うのはもったいないと、手打ちの十割そばを提供。コストが高くても、信州産を中心に厳選された石臼挽きのそば粉を使用するこだわりぶり。”新そば”と呼ばれる時期を過ぎても良い状態を保つため、低温環境で真空保存しています。
食べやすくて、のど越しの良い十割そば作りに10年、味を追求してさらに12年。ようやく香りを生かし、二八に負けない食感にたどりついたと話します。十割そばを、まずはそのまま、次は湿った箸につけた塩で、それからつゆで味わってみてください。だし巻き卵や湯葉さし、天ぷら盛り合わせなどがついた、夜の「蕎麦コース」(※要予約)もおすすめ。
大きな車エビの天ぷらが絶品の「海老天ざる」(1,990円)。本枯節、花鰹、利尻昆布、2種類のみりんなどで作るダシが天ぷらにもよく合う。
自身が無類のそば好きで、これまで200軒以上のそば屋を食べ歩いたという、店主の市川勝博さん。店は2024年8月に25周年を迎えた。
年越しそばを求めてにぎわう大晦日は、メニューを多少絞って11:00~21:00(LO20:00)まで通し営業する『市川』。
生粋手打蕎麦 市川
富山市今泉北部町1-5 シティiiビル1F
TEL:076-421-1004
営: 11:30~15:00(LO14:30)、17:30~19:30
(夜は2名以上のコース予約のみ)
休: 火・水曜、1/1~1/4
P:共同駐車場(店舗駐車場はオレンジの枠)
席:カウンター4席、テーブル8席、小上がり10席
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松濤庵
ざる蕎麦 並盛900円、大盛+400円
12月初旬から登場する、香りの高さと風味をダイレクトに堪能できる新そば。熟成した実を挽いたそばとまた異なった、この時期だけのお楽しみを味わおう。 ※写真は通常のざる蕎麦。
”いつも変わらぬ”味ともてなし
四季を感じる清々しい空間で
四季折々の日本庭園の景色を楽しみ、こだわりの二八そばが味わえるお店。美しい細めの手打ちそばは、福井県産の粗挽きと細挽き2種類のそば粉とつなぎを独自の配合でブレンド。飲み干せるほどまろやかなつゆは、濃口しょう油・ざらめ糖・本みりんを火にかけ1ヵ月以上寝かせたかえしと、本鰹・宗田鰹・鯖の削り節から引いた黄金色のダシを合わせています。茹で水や出し汁などに使われる水はすべて上市町の「城山の湧水」を使用。
一つひとつの作業を丁寧に重ね、いつも変わらぬ ”松濤庵の蕎麦”を保つ努力と、それを楽しみに訪れる客をもてなす心は、開店から4年半経ても変わりません。席はカウンターのみとかしこまってしまう人も多くいるそうだが「気負わず自由に食べてほしい」とのこと。清々しい空間で極上のひとときを。
食後には茶室で抹茶(1,000円)とかわいらしい琥珀糖の和菓子でゆったりできる。茶室は前田薬品工業の創業者が建てたもの。手を入れて現在に蘇らせた。
立山杉の一枚板のカウンター越しに、ご主人の前田圭一さんと語らうのも楽しい。定番の新メニューを考案中とのことで、今後が楽しみ。
松濤庵
富山市浜黒崎242
TEL: 080-7557-3419
営: 11:30~15:00(LO14:00)
休: 木・金曜
P:13台
席:カウンター6席
Instagram:@shotouan
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手打ち蕎麦 あかり
せいろ 1,000円
新そばを味わうならやはり基本の「せいろ」(1,000円)をいただきたい。早刈りの丸抜きを用いた「粗挽き蕎麦」は緑が鮮やかで若々しい香りが。もちもちの食感もこの時期ならでは。※早刈りは今シーズン終了。現在は完熟新そばを用意。
早刈り、完熟、産地違いで
福井県在来種を楽しみつくす
理想のそばを打つために試行錯誤を重ね、そばへの探求心あふれる店主が営む『あかり』。行きついたのは、そばの風味が際だつ福井県産在来種のなかでも希少な永平寺産の十割そば。ここでは石臼挽きで自家製粉したそば粉を用い手打ちした「粗挽き蕎麦」、「玄挽き田舎蕎麦」、「平打ち田舎蕎麦」の3種から、日替わりで2種のそばをいただくことができます。
ただし新そばの時期はちょっと違ったお楽しみが。永平寺以外にも大野、丸岡、あわら、今庄など複数の福井県在来種を楽しめます。また、早刈りや完熟など状態の違う新そばも週替わりで味わえるのです。フレッシュな香りが身上の早刈りは今シーズンすでに終了しましたが、これからより奥深い香りが持ち味の完熟タイプの新そばがお目見え。この時期ならではのもちっとした歯ごたえと香りを存分に堪能しましょう。
濃厚なくるみ汁で味わう「くるみせいろ」(1,300円)。鮮烈なそばの香りのあとを追って芳ばしいくるみの風味が口いっぱいに広がる。
そばはなんといっても自分の好きに食べるのが一番と店主。とはいえ、そば自体をおいしく味わってもらうための研究には日々余念がない。
高い天井に木のぬくもりを感じる落ち着いた店内。予約優先のお店なので、確実に新そばをいただくためには予約がおすすめ。
手打ち蕎麦 あかり
入善町上野818-1
TEL:0765-33-4132
営: 11:00~最終入店13:30(LO) ※予約優先
休: 火・水曜、1/1~1/8 ※12/31は営業
P:8台
席:テーブル12席
Instagram:@teuchisoba_akari
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今年も新そばの季節がやってきました。旬の今こそ味わいたい逸品をご紹介しています。
また、Takt1月号ではそば名人に徹底取材し、豆知識を学んできました。知れば知るほど食べたくなる、奥深い魅力が詰まったそばの世界へようこそ。