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【神主さんに聞いてみた】「夏越の大祓」についてもっと詳しく教えて!


去年インタビューさせていただき、夏越の大祓とは清浄な心身に服するために行われる6月末の神事だということを知りました。改めて大祓とはどのような神事か、もう少し詳しく伺いたいです!

カラオケへ行って大声で歌ったり、好きなものを思う存分食べたりなど皆さんそれぞれのリフレッシュ方法をお持ちだと思います。しかし、これを例えるなら、墨汁に水を注いで薄めているだけであって、完全に透明な水にはなっていない状態です。
綺麗な水にするためには、一旦、器の墨汁をきれいに洗い流さないとダメですよね?大祓は器に残った墨汁を洗い流し、心身を清浄にすることを目的とした神事です!

たしかに、神社にお参りして神様からパワーをもらったとしても、穢れが残っていると効果が薄くなる気がします……。

鬱陶しい梅雨、暑い夏を乗り切るためにもお近くの神社で大祓を行っている場合はぜひ参加してほしいです。

昨年お伺いした時は、大祓はアクティブな神事だという印象を持ちました!

そうですね、ほかの神事や祈願と違って、参拝者の方が自ら行動する点が挙げられると思います。茅の輪くぐりもそうですし、祝詞も読むんですよね。

大祓詞という詞をみんなで読み上げます!
読めば読むほど効力が増すといわれていて、自分はもちろん周りのことも祓い清める詞で、何が罪穢れでどのようにしたらその穢れが祓い清めるのかが書かれたものです。神職が生涯の中で一番読む詞かと思います!


一般の人も読めるものなんでしょうか?

慣れている人の中には読まれる方もいますね!でも、初めての方や慣れていない方からすると難易度が高いため、目で追う程度でも構いませんので安心して参加してくださいね!

それは助かります!そういえば昨年は、夏越の大祓で何をするか理解できたのですが、そもそもなぜ茅の輪を使っているのでしょうか?

はい、色々な形式が混ざって現在の大祓の形に辿り着いたのですが、ひとつ有名な話の中に、蘇民将来という逸話があります。

蘇民将来?どんな逸話ですか?

あるところに裕福なコタンショウライと貧しいソミンショウライという兄弟がいました。
スサノオノミコトが旅の途中に一夜の宿を求めた時、コタンは宿泊を断り、それをみて心配をしたソミンは快く寝泊まりすることを受け入れたそうです。
数年後、スサノオノミコトはソミンのもとを再び訪れ、悪疫が流行った場合は、茅で輪をつくり、それを腰につけておけば免れると教えてあげました。また、ソミンだけではなく、その子孫も守られるように、「蘇民将来子孫也」と書いた護符もつけておきなさいと伝えました。
やがて、悪疫が流行った時に、ソミンはその教えを守り悪疫から逃れることができ、子孫が栄えました。一方、コタンの一族は滅びてしまったといわれています。。

この腰につける茅のなごりとして、茅の輪くぐりといわれているものへと変化しました。

「情けは人の為ならず」ということですね!

人間、謙虚な心が大事ですね。また、腰につける茅のなごりとして、茅の輪守りを授与している神社もあります。


ありがとうございます、夏越の大祓についてより詳しくなれた気がします!

大祓でリセットすることも大事ですが、神社は神様からパワーを授かる場所です。境内全部が神域でご神木や様々なところに神様を感じる場所があると思います。最近の言葉だとパワースポットですね。 神様にお祈りすると同時に、その神社で神様を感じるスポットを探すのも面白いかもしれませんよ!


日吉神社の大ケヤキもその一つですね!

はい、そうですね!日吉神社へお参りの際は、こちらの大ケヤキからもパワーをもらってほしいです。県内にもたくさん神社はありますが、身近な神社が皆さんを守ってくれる大事な神様です。「神社庁サイト」で自分に縁のある神社を調べられるので、まだご存じのない方は検索してみましょう。

また、夏越の大祓を行っている神社をグーグルマップで見れるように制作しましたので、お近くの神社で行っている場合はぜひ参加してほしいです。
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【昨年(令和5年)版】


「神社」と聞くと、年末年始の初詣が思いつきますが、夏にも何か行事があるのでしょうか?

初詣の人出が多いので、それ以外に神社で何をしているか分からない人も多いかもしれません。しかし、基本は年末年始に限らず一年中開いていて、誰でもお参りすることができます。
そして、実は夏にも大切な行事があるんです!

夏にも行事があることは知りませんでした!

「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」という行事です。
まず「大祓」というのは、半年間の穢れを神様の力によって祓い清め、清浄な心身に復するというものです。6月末日に行われるものを「夏越の大祓」、12月末日は「年越の大祓」と呼ばれています。

6月の終わりごろになると、神社の前に草で作られた大きな輪っかがあるのを見たことはありませんか?
実は、それが「夏越の大祓」に関係するものなんです。

草の輪っかは、近くの神社で見かけたことがあります! 穢れをお祓いするのはなんとなくわかりましたが、実際にどのようなことをするのですか?

大きな輪っかをくぐることが一つです。輪っかは茅で作れていて「茅の輪(ちのわ)」と言います。くぐり方は神社によって多少違いがありますが、∞を描くように左まわり・右まわり・左まわりと3回くぐります。
もともとは、小さい茅の輪をお守りのように身に付けることで疫病から逃れられるとされていました。時代が進むにつれて、今のような大きな輪っかになって、くぐることで参拝者は穢れを清め、疫病から守られるとの考えに変化しました。


さらに、人の形をしたお神札で穢れを清めます。
神社からの案内で「人形」という紙が送られてきたことがありませんか? それが「夏越の大祓」に使うものです。
これを手に持って、全身を撫でることで、紙に自分の穢れを移します。その後に紙を水に流したり、焼納したりします。穢れが移った人形が消えることによって穢れも消えると思ってください。




ほかには「切麻(きりぬさ)」と呼ばれる紙と麻を混ぜたものをまいたり、「大祓詞(おおはらえのことば)」という、罪穢れがどうしたら祓い清められるかが書かれた詞を参列者で読み上げたりします。


お祓いというと座っているイメージがありましたが、意外とアクティブな神事ですね!

年末や季節の変わり目に大掃除をするようなもので、普段は掃除をしないところ、見えないところまで念入りに掃除するのが「大祓」なんです。
掃除をしないところはどんどん汚れが溜まってしまいますし、この掃除を疎かにすると、健康面でも精神衛生面でもよくありませんよね。
住まいだけでなく、半年に一度の節目で自分自身の汚れたところもきれいにしようと思うことが大切です!

ありがとうございました!

今回、『富山県神社庁』では「夏越の大祓」を行っている県内の神社のMAPを作りました。近くに住んでいる人は、この機会に「夏越の大祓」を受けて清々しく、うっとしい梅雨や夏を乗り切ってはいかがでしょうか?
また、これ以外にも地元の神社(氏神様)も私たちに元気を分けてくれる神様です。
「氏神検索」では、氏神様を調べられるので、ぜひお参りしてみてください。
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