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【家づくりレポート】“建てられない”土地で叶えた、自由設計の家事ラクな家
耐震性や高気密・高断熱の家づくりに定評のある、南砺市の『城宝工務店』。長期優良認定住宅の申請に必要な“木造住宅の構造計算”から、設計・施工まですべて自社で行う、県内でも数少ない工務店です。そして実は、法律や条例で建築が制限されている「建築不可物件」（再建築不可物件）や、農地転用が必要な土地での住宅建築が得意なのです。
今回紹介するのは、“家を建てられない”土地に完成した、自由設計の“家事ラク”な家です。効率の良い家事動線やアイデアいっぱいの家づくりのコツ、建築可能な土地にするためにどんなお手伝いをしたのか、早速うかがってみましょう。
今回のお宅 南砺市・Y邸
【家族構成】ご主人、奥様、お子さん（３人）【工法・構造】木造軸組在来工法・2階建て 【建物本体工事価格】3,501～4,000万円【建物本体坪単価】約96万円【敷地面積】 386.73㎡（約116.98坪）【施工面積】117.99㎡（約35.69坪）【延床面積】1階76.18㎡（約23.04坪）／2階38.50㎡（約11.64坪）／合計114.68㎡（約34.69坪）
【建物本体工事価格内訳】 仮設工事／基礎工事／木工事／内装工事／屋根工事／板金工事／外壁工事／左官工事／タイル工事／ガラスサッシ工事／内部塗装工事／外部建具工事／内部建具工事／設備工事／電気設備工事／給排水設備工事／雑工事／運搬費／カーテン工事／空調設備工事／太陽光発電工事
【別途工事・設備費用】合計：約250万円 内訳：外構工事・カーポート工事
耐震等級３・長期優良認定住宅を自由設計で
家事が楽にできて、家族それぞれが快適に過ごせる高性能な家を求めていたYさん一家。共働きのご夫婦と３人のお子さんの5人家族です。Y邸は木造住宅で最も厳しい基準の「耐震等級３」の家。公共施設や防災上重要な建築物に求められるレベル（耐震等級１の１.５倍）で、加えて制振装置が設置されています。
「耐震等級３」の家は、耐力壁の配置・筋交いなど厳しい制約があります。そのため、大きな吹き抜けや大開口、柱のない広い空間といった設計は難しいと言われています。多数の施工実績を持ち、経験豊富な『城宝工務店』では、構造計算に基づいた綿密な設計を行っています。そして耐震基準適合証明書が取得できる性能を持った上で、自由な間取り設計を可能にしています。
また「長期優良認定住宅」であるY邸は、断熱性を表すUA値が0.32、気密性のC値は0.12と、高断熱・高気密がデータで裏付けされています。Yさん一家も実際に住んでみて大絶賛。床下エアコンの足元からぽかぽかする暖かさも気に入ったようです。
UA値（外皮平均熱貫流率）
家から外へと逃げる熱の量を示した数値。UA値が低いほど断熱性能が高い。次世代省エネ基準では、0.87以下を目安とされている。
C値（相当すき間面積）
家にどのくらいすき間があるのかを示した数値。C値が低いほど気密性が高い。
吹き抜け・リビング階段・床下エアコンで循環
夏涼しく冬暖かい高気密・高断熱の家に不可欠なのが、強制換気です。上下階の温度差をなくし、冷気や暖気を家中に循環させるために、吹き抜け・リビング階段・床下エアコンの３点を設けています。吹き抜けとリビング階段は、快適性を高めるだけでなく、上下階をつなぐ役割も。Y邸ではLDKのカウンターキッチン下の収納棚の中に「床下エアコン」を設けました。目隠しの扉がつけられ、存在にまったく気づきません。
ダイニングテーブルに物を置かず、いつも整理整頓できるように設けた造作収納棚。床下エアコンは右側の扉のなかに。
背の高いカウンターキッチンに置かれた一人がけの椅子は、夜遅くなったご主人や部活などで忙しい子どもたちが食事をとる時にも活躍。一人での食事が寂しくないように、家事をしながら見守ることがもできますね。
キッチンは広々として、引き出し収納もたっぷり。洗面・洗濯室に続く通路にはパントリーを両壁に設けた。カウンター下に設けたニッチもこだわりポイントのひとつ。
家事ラクの工夫がいっぱい！
家事動線にこだわる奥様の希望で、キッチンから洗面・洗濯室、脱衣所、お風呂までの水回りは一直線！ 玄関から廊下を進むと洗面台があり、帰ってきてすぐに手洗いができ、そのまま洗面・洗濯室を通りキッチンへ。リビングを経由しないので動きもスムーズで、来客時にも便利。
注目点は、広い洗面・洗濯室。ウォークスルークローゼット（WTC）も兼ねています。洗濯する→干す→乾いた衣類はそのままハンガー収納も可能で、すべてここで完結。アイロンがけや洗濯物をたたむスペースもありとても機能的。仕事に子育てに忙しい奥様の“家事ラク”技が凝縮されています。使いやすい水回りなので、ご主人や子どもたちも家事に協力的だそう。「本当に家事が楽になった！」と奥様も大満足です♪
作業台が設けられた洗面・洗濯室（兼WTC）は８・28㎡と広々。家族５人分の洗濯物も、干すスペースを気にせずどんどん洗えて便利ですね。
家族のプライベート時間を大切に
仲良し家族のYさん一家ですが、個々の趣味やプライベート時間を大切にしています。奥様のリクエストで設けたのが、リビング横の家事室。ここからリビングのテレビを見ながら家事ができ、戸を閉めれば奥様の“城”に。書棚も造作で付け、本を読んでゆったりとした時間を過ごしています。
リビング横の家事室。お子さんのお友達が来た時には、造作机前の引き戸をさっと閉めることもでき、プライベート空間に変身。
２階にはご主人の書斎、３人のお子さんの部屋があります。子供部屋にはタンス類は置かず、衣類は造り付けのハンガーパイプへ。ほとんどの衣類収納は洗面・洗濯室のWTCに集中させています。また、リビング階段をあがると広がるホールには、洗面台と同じ高さで水槽を置く台を設けました。ペットの亀の水槽の水換えにとても便利だそう。このように家族の個性や生活にあわせた、細かな要望にも徹底して対応しています。
お仕事だけでなく、趣味の時間にも使われているご主人の書斎。造作デスク側の壁は、プロジェクターにも対応できるように、あえて窓なしに。
玄関の天井と外側のポーチには南砺市産の材木を使用。天然木のぬくもりあふれる清々しい空間。シューズクロークもあり、すっきりとした玄関をキープできる。
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そもそも「家が建てられない土地」だった⁉
ご主人のご両親が住む家の後ろに建てられたY邸。ここにたどり着くまで、実はいろいろな苦労がありました。この土地は「幅員４m以上の道路に２m以上接する」接道義務の基準に満たない「建築不可物件」だったのです。しかも調べると、その土地はすでにご近所の方が購入済。「ここには建てられない」と半ば諦めていました。他に土地を探しても適地が見つからず、ご主人のお父様が城宝透代表に相談。「建てられるかもしれない」と調査を始めました。
登記を確認し、役所に相談。最終的にその土地（私有地）を購入し、道路幅を４メートルに拡幅。そして建築審査会にかけて「道路位置指定」を取得して、ようやく建てることができたのです。道路に接する住民の方々とも話し合い、一つひとつ解決していきました。
建築不可物件（再建築不可物件）
接道義務違反など、現行の建築基準法を満たさないため、更地や今ある建物を一度更地にしてしまうと、その土地に新しい建物を建て直すことが法的にできない不動産のこと。リフォームは可能だが、建て替えや増築、大規模な改築は基本的にできない。
道路位置指定
建築基準法に基づき、特定行政庁（市町村長など）が「この場所に道路がある」と指定した私道のこと。
地元工務店ならではの柔軟な対応
法的条件をクリアするために、役所や近所の方々との交渉・調整、法的な手続きを進め、半年かかって“建てられない土地”に家を建てることができました。これも地元ならではのネットワークと柔軟な対応力、『城宝工務店』のノウハウが生かされています。
さらに太陽光発電などをフル装備したY邸は、国の「GX志向型住宅」と「南砺市の木利用促進事業」の補助金も取得。申請には構造計算書など多くの書類が必要で手間がかかりますが、城宝代表はお客様の経済的負担を減らすことを大事にしています。
GX志向型住宅
2025年度「子育てグリーン住宅支援事業」のひとつ。ZEH水準よりもさらに高い省エネ性を備え、再エネ発電設備の設置が必須。子育て世帯や若者夫婦世帯以外も対象。補助額160万円。※予算上限に達したため受付終了。
「建てられない」と諦めていた土地でも、プロの知恵があれば夢のマイホームを実現できる場合があります。これから家づくりを考えている方も、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
シンプルな金属サイディングを採用。広いポーチはアクセントに南砺市の木材を使用。
≪Y邸 使用部材・設備等≫
●仕上げ部材【外部】
［基礎］モルタル刷毛引き［外壁］鋼板サイディング［屋根］和瓦葺き
●仕上げ部材【内部】
玄関［床］磁器質タイル300角［壁］ビニルクロス［天井］ビニルクロス、県産材羽目板
LDK［床］WPCフロア［壁］ビニルクロス［天井］ロックウール吸音板
●設備機器
［キッチン］タカラスタンダード［洗面化粧台］クリナップ［システムバス］クリナップ［便器］TOTO
教えて！城宝さん・家づくり豆知識
Q. 「ZEH」「GX志向型住宅」補助金の申請条件に必要となる「太陽光発電設備」の導入のメリットは？
A. 売電価格は下落傾向にありますが、電気代高騰の背景から自家消費による電気代削減メリットが拡大しています。災害時の非常用電源としても有用で、脱炭素社会の実現にも貢献できます。富山県内の市町村でも太陽光発電の導入に対する補助制度もあります
Q デメリットや注意点は？
A 設置初期費用やメンテナンス費用を長期的に考慮する必要があります。特にパワーコンディショナー（パワコン）の寿命は15年ほど。太陽光パネルの発電量は徐々に低下しますが、適切なメンテナンスやパワコンの交換で長期間の利用が可能です。天候・季節による発電量の変動もありますが、売電だけでなく「使う」ことに重点を置いた導入が、経済的合理性を高める鍵となります。また撤去する場合、費用がかかることもお忘れなく。
「城宝工務店」の事務所兼モデルハウスに、太陽光発電設備を設置しています。そこで得られた実際の発電量や売電・自家消費のデータを提示しています。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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設計・施工 城宝工務店
『城宝工務店』では一緒に働いてくれる仲間を募集しています。下準備など家を建てる一部分の工程だけでなく、オールラウンドに携われるので「家を建てた」という達成感がより得られるはず。詳しい募集要項はこちら。
・・・ 日刊オンラインタクト 城宝工務店 施工例紹介 ・・・
DATA
(株)城宝工務店
- 住所
- 南砺市高堀330
- 電話番号
- 0763-22-4115
- 営業時間
- 8：00～18：00
- 休日
- 日曜・祝日
- HP
- https://johokoumuten.o.oo7.jp/
- 備考
- 【創業】昭和22年
【取扱工法・構造】木造軸組在来工法
【品質保証・アフターフォロー】
長期優良認定住宅では、30年間のメンテナンス計画を立て、10年ごとの点検が義務付けられていますが、当社では5年おきに点検・メンテナンスを実施。費用の積み立て計画のご相談も可能。
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