グルメ
Gourmet
【富山のいいお店、いい空間】日常にちょっとした彩りを添える、心地よい空間でひと休み
リノベならではの居心地の良さが魅力のランチスポットやカフェ、宿泊施設。
こだわりの内装が、日常にちょっとした彩りを添えます。
●目次●
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おりょうり 椿や

月ごとに内容が変わる『季節の御膳』(3,500円)。写真は葉月の献立で、椀物、朴葉焼き、竹籠、炊き込みご飯、水菓子が揃い、コース形式で旬の味覚を楽しめる。
古民家の風情を残す空間でゆったり
季節を映す和食を心ゆくまで
富山市郊外の静かな住宅街に佇む『椿や』は、築65年の古民家を丁寧にリノベーションした和食店。旬の地物を使い季節を映す料理が、女性客を中心に支持を集めています。すりガラスの引き戸や障子など昔ながらの風情を残す空間に、モダンな照明とアートが馴染み、蓄音機から流れるやわらかなジャズがくつろぎをもたらします。
日本料理一筋の店主が腕をふるう「季節の御膳」は、富山湾の魚や地元でとれた野菜など、素材の良さを引き出し、あしらいも細やか。それでいて気取りがなく、リラックスして楽しめます。月替わりの「甘味セット」も用意。「長居してゆったり過ごしてほしい」と微笑む店主夫妻の心遣いが、この場所にそっと息づいています。

かつて売薬を営んでいたという農家住宅のゆとりある間取りをそのまま活かし、ダイニングテーブルで気楽に食事を楽しめるスタイルに。

金沢や京都で修業を積み、富山の老舗『五万石』で腕を磨いた店主の中島克己さんと、デザートや接客、経理を担う妻の淳さん。2人で切り盛りするなかで、ご近所との繋がりが支えになっていると感謝する。

欄間や床の間、雪見障子など座敷の面影を残す空間に、店主が育てる盆栽や奥様が生ける季節の花々が彩りを添える。縁側越しには手をかけて整えられた庭 が、心を和ませてくれる。
おりょうり 椿や(つばきや)
富山市中沖753
TEL:070-5063-7560
※予約対応は16:00~
営:11:30~16:00
(11:30~と12:30~の2部制)
休:月・火曜
P:10台
席:テーブル26席
Instagram:@oryouri_tubakiya
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4TUNE COFFEE

スペシャルティコーヒーは1杯600円~とリーズナブル。自家製「キャロットケーキ」(500円)ほか、隣接する『ヒミツキチ』のスイーツも。
ミッドセンチュリーな空間演出と
個性豊かなスペシャルティコーヒー
サイクリングロード沿いの長閑な田園風景のなかに建つ『4TUNE COFFEE』。農家の納屋の天井を一部はがし、窓を大きくとり、土間をそのまま活かした店舗は、木陰で休んでいるような陰影があり、流れているジャズも心地よい。20世紀半ばにアメリカで流行したデザインスタイル〝ミッドセンチュリー〞が好みだという店主。選んだ椅子やテーブルは、木の温もりやモダンな革張りが融合した、異素材が響き合う空間となっています。景色も内装も自慢だが、店の主役は豆の鮮度にこだわった自家焙煎のスペシャルティコーヒー。個性の違う9種類を揃え、3種類を選んで味わえる「テイスティングセット」(1,300円)もおすすめです。

土壁の代わりに木毛セメント板を使い、レトロな雰囲気を残した壁や、擦りガラスの模様がかわいい引き戸など、見所の多い店内。

産地だけでなく精製(コーヒーチェリーから生豆を取り出す工程)方法による味わいの違いにも注目。豊富な知識は尋ねられた時のみ伝授するという奥ゆかしい店主。
4TUNE COFFEE(フォーチュンコーヒー)
富山市八尾町杉田603
TEL:070-3410-1328
営:10:00~17:00
休:木曜、第2・4水曜
P:35台(共用)
席:カウンター4席、テーブル18席
Instagram:@4tune_coffee
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etre

野菜もたっぷり「鶏のからあげ定食」(4個800円、5個880円)。ソースをユーリンチー風、レモン、マヨネーズの3種類から選べる。
思い出のおばあちゃんちを
セルフリノベで定食屋さんに
『高志の国文学館』向かい、街なかでありながら緑豊かな環境にある『etre』は、店主が子ども時代、学校帰りに過ごした祖母の家でした。取り壊すのは惜しく、店主が買い取ることを決意。仕事が終わった後や休日にコツコツとセルフリノベーションし、2020年に定食屋をオープンさせました。コロナ禍でしたが、「週替わりカレー」や「鶏のから揚げ」、「豚の生姜焼き」といった王道の定食が、店でも弁当でも庶民派価格で食べられるとあって、徐々に人気に。ボリュームも大事にしている同店では、新米の季節にはごはんの大盛り無料も検討しているとのこと。どこか懐かしい空間で、おいしいごはんをお腹いっぱい味わって。

DIYで作られたテーブルは、手作りの料理に良く似合う。不揃いだからこそ、「今日はどこの席にしようか?」と迷う楽しさもある。

土間スペースにあるキッチン。カウンター下に庭のトタンを貼ったことで、内と外が曖昧になり、屋台のような楽しい雰囲気に。
etre(エトレ)
富山市舟橋南町1-13
TEL:076-432-9643
営:11:00~14:00(LO13:30)
※夜は予約制(前日までに要予約、4名様より)
休:日曜、祝日
P:3台
席:カウンター5席、テーブル12席、
小上がり10席
Instagram:@1111etre
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やさいとエトセトラ

看板メニューは「蒸籠蒸しランチ」(1,300円)。地元中心とした旬の野菜が10種入った蒸籠、具沢山味噌汁など、たっぷり野菜にお腹も心も満たされる。
時代を超えて息づく場所で
地元愛溢れる旬野菜を味わう
生まれも育ちも入善の店主が、地元ながら普段通らない道で一目ぼれしたのがアーチ形のひさしが印象的な歴史ある建物。大正時代は旅館として、その後隣接する歯科医の邸宅として時を重ねてきた家は、地元野菜を使った食を提供する場所として息を吹き返しました。井波彫刻の欄間をいかし、漆喰の壁はワークショップ形式で多くの人の手によって完成。家も衣替えするからと、前の家主から涼やかな暖簾をいただくなど、大切に扱われた歴史をつなぐ素敵なエピソードも。地元野菜のうまみをたっぷり楽しめる蒸籠蒸しランチなど、店主の地元愛溢れる食事を求め集う人々によって、ここに新しいストーリーがまた紡がれていきます。

地元の方から譲り受けた昔の時計やミシン、子どもから大人まで約20人で仕上げた壁など、たくさんの人の思いが込められた店はとてもあたたかい雰囲気。

入り口には地元で採れた野菜などを販売するスペースも。棚はかつてこの家で使われていたたんすなどを利用。店主のお父様が育てた野菜も並ぶ。
やさいとエトセトラ
入善町入膳7144-11
TEL:なし
営:11:00~17:00
※ランチは11:00~15:00(LO14:30)
休:日・水・木曜
※インスタグラムを要確認
P:セントラルパーキング(無料)を利用
席:カウンター2席、テーブル9席、
小上がり8席
Instagram:@yasai.to.etc
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musubibi

畳の和室は板張りに。仏間を除いて設けた大きな窓の先にはウッドデッキを自作。いつまでも眺めていたい夏の景色がそこにある。
地域らしさと遊び心を形に
人を結んだリノベーション
クラウドファンディングを活用し、資金と労力両面で約300人が関わって成し遂げた空き家のリノベーション。改築プロジェクトを通して、地域の魅力を伝え、交流人口を増やす『musubibi』の活動はとってもユニーク。1Fは、おむすび屋さんを中心に、コーヒーやヴィーガンランチなどが食べられるスペースと、子どもの遊び場、アクセサリー雑貨や再活用を目指す器のお値打ち販売コーナーが。2Fには3タイプのゲストルームと図書室があり、宿泊客も食事に下りてくる境界線の曖昧さが楽しい。木工産業が盛んな砺波市栴檀野地区の建具や子どもたちが手塗りした漆喰ほか、建物の見どころは満載です。

二間続きの「土」。他にセミダブル+シングルの「水」、ダブルベッドの「風」がある。宿泊はHPの予約フォームより受付。一棟貸しもOK。

使われずに眠っている、また捨てられそうな食器をレスキューし、低価格で次の使い手に繫ぐ。来冬には近所に古道具屋を出す予定。
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発売中のTakt9月号の特集は『いいお店、いい空間』。
古いものに新しい息吹が宿るとき、そこには物語が生まれます。
時を重ねた梁や窓枠、懐かしさを感じる壁。そのひとつひとつに、店づくりへの想いが込められています。
今回の特集は、そんなリノベーションで生まれ変わった〝いいお店、いい空間〞。
時を越えた魅力が重なり合う、その心地よさにふれてみてください。

※Takt9月号内で掲載されている価格は、消費税込の価格となっております。
※Takt9月号内に掲載されている情報は、すべて8月現在のものです。その後変更される場合があります。あらかじめご了承ください。
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