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【映画『無明の橋』公開記念インタビュー】全国に先駆けてロケ地・富山県で公開中!

渡辺 真起子(わたなべ まきこ)◆1968年生まれ、東京都出身。TVCM出演や雑誌初代表紙等を経て1988年女優デビュー。『M/OTHER』『殯の森』等で高い評価を得る。『チチを撮りに』『浅田家!』など受賞多数の実力派。
坂本 欣弘(さかもと よしひろ)◆1986年生まれ、富山県出身。デビュー作『真白の恋』(17)で高崎映画祭新進監督グランプリを受賞。続く『もみの家』(20)など、故郷・富山の美しい風土に根ざし、人の心に静かに寄り添う作品を生み出し続けている。
富山出身・坂本欣弘監督の最新作『無明の橋』が、ロケ地の富山県にて10月9日(金)より全国に先駆けて先行公開されました。日刊オンラインタクトでは、主演の渡辺 真起子さん、坂本欣弘監督をお迎えし、映画の見どころについて詳しくお話をお伺いしました。
ーー主人公が深い喪失(子供の死)を見つめ直し、新たな一歩を踏み出すストーリーを描くにあたり、監督ご自身の中でどのような体験や想いが制作の原動力になったのでしょうか?
坂本監督◆2012年に親しかった先輩を水難事故で亡くしたんです。亡くなる1週間前、サプライズの誕生日メッセージ動画をご両親と撮影していたのですが、編集作業中に訃報を聞かされました。葬儀で受付におられたお母さんと目が合った時、直前まで楽しく撮影していた思い出がよぎって……。お母さんは息子さんのことが本当に大好きな方だったので、「この後どう立ち直っていくんだろう」と折に触れて想像していたんです。その体験と富山の「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」という儀式が自分の中で重なり、「映画の題材に取り入れてみよう」と思ったのが大きなきっかけでした。
ーー「布橋灌頂会」は富山の中でも決して派手なお祭りではなく静かな儀式ですが、監督はいつ・どのようにして知られたのですか?
坂本監督◆前作『真白の恋』の際、次回作『もみの家』の構想を話していた時に「布橋灌頂会はどうですか」と教えていただいたのが最初です。富山に住みながら詳しく知らなかったので調べると、歴史が深く、全国から様々な思いや事情を抱えた方が集まる場所だと分かりました。
ーー全国から足を運ばれるということは、何か深いご事情を抱えた方も多いのでしょうか。
渡辺さん◆そこは不問というか、参加理由を細かく尋ねたりはしないんですよね。単純に「歩いてみたい」という観光目的の人もいれば、何かを乗り越えたくて来る人もいる。限定せずにいろんな思いを受け止める場所なんだと感じました。

ーー作品を通じて「名前」や「生まれ変わること」が印象的なテーマだと感じました。登場人物たちの“再生”や“名前”に込めた意図を教えていただけますか?
坂本監督◆実は最初の脚本段階では「名前」の描写はそこまで深掘りしていなかったんです。現場で渡辺さんやキャストの皆さんと対話を重ねる中で出てきたアイデアを拾っていきました。お芝居やカメラの切り取り方によってテーマが強調されていった印象ですね。
渡辺さん◆地名でも人の名前でも、みんなが理解できる「名前」があることで状況や想いが共有される面白さがありますよね。名前は単に縛るものではなく、他者との繋がりを与えてくれるものでもあるのかなと感じます。
ーー我が子を失うという絶望的な喪失感を抱える難しい役どころでしたが、演じる上で特に意識されたことや葛藤はありましたか?
渡辺さん◆私個人の人生経験でも親を見送ったり、大切な人にもう会えない時間を経験しています。だから子供を失った彼女の苦しさは想像を絶するものですが、全く理解できない未知のことではないんですよね。葛藤というより、台本通りに「こういう人がいるんだな」と素直に受け止めました。答えを持って演じるというより、キャストやスタッフと一緒に彼女の心の中を旅していく感覚でした。
ーー悲しみを過剰に叫んだりしない静かな佇まいが、かえってリアルに胸に迫りました。
渡辺さん◆撮影前、坂本監督と表現の仕方についてじっくり話し合いました。例えば信号待ちをしている人がいて、今日夫を亡くしたばかりかもしれないし、今夜の献立を考えているだけかもしれない。外見では分からないですよね。だから「悲しい人物だからと悲しさを全面に出す必要はない」と話したんです。物語を辿るうちに「何かを抱えているんだ」と伝わればいい。誰しも言えない寂しさや苦労を抱えて生きているけれど、明日は来るし暮らしは続いていく。そういう人々の営みや想いにそっと触れられるような表現を目指しました。
ーー映画の象徴でもある「布橋灌頂会」のシーンを実際に体験されてみて、いかがでしたか?
渡辺さん◆「撮影中」という意識と、初めて神聖な儀式を体験する意識の両方がありました。灌頂会は主体的に何かをするのではなく、決められた手順に身を委ねる儀式なんですよね。言われた通りに橋を歩く中で、自分の中に新しい時間が流れる感覚がありました。白布で目隠しをして歩くのですが、不思議と怖さはなかったです。
ーー主人公が「布橋灌頂会」を経て少女と出会い会話を交わす場面ですが、渡辺さんは彼女の「救い」や「再生」をどのように捉えていましたか?
渡辺さん◆劇中の展開は、見方によっては「すべて彼女の夢だった」「そもそも立山に行っていない」という深読みもできる構造になっています。でも私個人としては、彼女は心の中で一番会いたかった人(娘)に再会でき、その存在を確認できたことで、もう一度前に進むきっかけを得られたと思いたいですね。役としては、目の前の少女をぎゅっと抱きしめて自分の中に戻したいほどの愛おしさがありました。

ーー立山の美しい風景や空気感が作品の情緒を深く支えていましたね。
坂本監督◆地元の方が観たら「あ、あの道だ」「あの角だ」と分かって嬉しくなるような風景がたくさん映っています。
渡辺さん◆昔の映画が当時の街並みを映したように、映画は100年後にもその土地や生きていた人の姿を残せる媒体なんですよね。100年後の人が観た時、「あの道角に少女が立っていたんだ」と確かめられる。そこに生きていた人に思いを馳せられるメディアとして、すごく面白いなと感じます。
ーー最後に、舞台である富山・立山町の方々や、これから作品をご覧になる読者へメッセージをお願いします。
坂本監督◆富山の方には、映画を通して生まれ育った土地の歴史や文化、魅力を再発見し、より富山を好きになるきっかけにしていただけたら嬉しいです。そして全国の多くの方に、この作品に触れていただきたいと思っています。
渡辺さん◆坂本監督が富山で映画を撮り始めて3本目となりますが、監督が積み重ねてきた時間が作品の深みとしてしっかり現れていると感じます。映画を観たという体験が観客一人ひとりの心に残り、少しでもご自身の体験のように感じていただけたら、これ以上に嬉しいことはありません。

ーーインタビューに応じていただき、ありがとうございました!
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映画『無明の橋』
【ストーリー】
15年前に3歳の娘を亡くし、罪悪感に苛まれ続ける由起子。
ある日「布橋灌頂会」という儀式を知った彼女は、現地で出会った女性たちと心を触れ合わせる中で亡き娘の記憶と向き合っていく。実在の儀式をモチーフに描く、喪失と再生の物語。
【公式HP】https://mumyonohashi.com/
◆2026年10月9日(金)より富山公開決定 ※現在絶賛上映中
◆TOHOシネマズ ファボーレ富山、JMAX THEATERとやま、TOHOシネマズ高岡

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