戦後間もなく、目薬や風邪薬などの医薬品を製造するメーカーとして創業した『五洲薬品』。国内でもいち早く健康食品や薬用入浴剤の研究開発・製造を始め、「未病対策に役立つ製品づくり」をしてきた。１９６７年にパパイン酵素入りの薬用入浴剤「パパヤ桃源」を製造・発売したことで全国に知られる存在となる。社名の「五洲」は世界を意味しており、富山から世界へ「美と健康」を届けたいという願いが込められている。

　健康づくりに役立つ独創的な製品作りに日々取り組み、まだ世の中にない製品を生み出すオンリーワンの企業として、個々の能力を活かせるコンパクト・カンパニーの体制を取っている。企画や研究・開発、製造、デザイン、特許申請など、幅広い業務を自社で行う姿勢からもオンリーワンのものづくりへの強い信念がうかがえる。

　製品開発を支えているのは、北アルプスの天然水と富山湾の海洋深層水だ。千里工場の敷地内には、シリカを豊富に含む温泉水の源泉を保有している。温泉水はまろやかで口当たりがいい軟水という特性を生かし、化粧水の原料をはじめ幅広い製品に活用されている。また１９９６年から産学官連携研究を開始し、海洋深層水に関するさまざまな研究を進めてきた。独自の脱塩分離機を使うことで、脱塩水、ミネラル濃縮水、濃塩水、等張水、塩、にがりに分類して、さまざまな製品分野で活用している。原料の調達から製造までの工程を自社で行っているメーカーは国内外でも希少で、これが同社の大きな強みであるとともに、高いクオリティの製品を開発し続けられる理由でもある。富山の資源を使うことで、富山の魅力を広く発信し、地元の人にも地域資源の価値を再認識するきっかけを与えている。

　海外販路の拡大にも力を入れている。ジャパンクオリティと言われるように、日本製品に対する海外からの信頼は高く、アジアやヨーロッパからも同社の製品へ高い関心が寄せられている。さらに取水地が確かな資源を使っていることも、信頼につながっている。富山クオリティシリーズや経口補水飲料など、近年も「美と健康」につながる製品が多数誕生している。

　本社と工場の二拠点での事業だが、連携して業務を進めることも多く、部署や社歴の垣根を越えて、意見やアイデアを出し合いながら製品づくりや販路拡大ができる土壌が整っている。会社側も従業員のワークライフバランスや働きやすさを大切にしており、休業制度だけでなく、声を掛け合いながら互いに助け合える社内風土も醸成されている。まずはＪＲ富山駅に併設する「とやマルシェ」にある直営店で、アイデアとチャレンジ精神に満ちた製品に触れ、同社の魅力を実感しよう。