tomsuma

富山県在中、北海道出身のアーティスト。いつもラブ&ラフのある世界を目指し、アート健康器具をはじめ、デザイン、企画、コピーライティングなど、アート全般において活躍。

ケーススタディ〜失敗を失敗とみなさない方法例〜

人生は、失敗という糸で織られた織物のようだ。By トムスマ

 富山に来て丸3年が過ぎ、ひとつ思っていることがありまして。立山連峰って、苦しい思いをしているときに限って、ずば抜けた美しさで姿を見せる。悔しさで般若の化身となったあのときも、無気力で締め切りだけが過ぎていったあのときも、情けない自己憐憫の塊となって歩いていたあのときも、ふと見上げると連峰が驚くような姿を見せていた。醜い心でいる自分なんかに、こんな美しい姿を、惜しみなく見せてくれるんだ……。ありがたい。という思いのほか言いようがなかった。「な〜にぃ。ど〜したん」と言われているような、そんな風景で富山は今日もある。

 ところで、ごはんは土鍋で炊いています。やっぱりおいしいですね。ただ、うっかりすると失敗しますね。もう春ごろの話ですが、炊いている間に電話に出てしまいました。お察しの通り、後の祭りですよ♪

 必要以上の香ばしい煙が、自信に満ちた美しい曲線を描いて昇っていきます。時間よ戻れ。そんなファンタジーを期待したあと、ひとしきり己を責め、ようやく勇気を奮い立たせて蓋を開けてやりましたよ。こんな御姿に誰がした。一粒ひと粒に謝罪したい気持ちですが半日謝り続けてなお終わらないほどに、みなさまノワールなお顔です。

 やった! 今晩はノワール米だね♪ なんて喜べる状況ではもちろんないです。意気消沈ですよね。でもそうも言っていられません。早急に土鍋を救わなくてはなりませんから、こんがり炭色のノワール米を端の方からしゃもじでこそぎました。

 驚愕の現象が起きましたよ。美しいほどに一塊となったお焦げが、みなさん仲良くスルっと連れだって来ました。油のカタメールを使ったみたいに、気持ち良いくらい一気に取れまして。土鍋の底の形状をしっかり反映した流線美にうっとりです。次第に、このまま捨てるのがもったいなく思えて来まして、再利用することにしました。

 それがお写真です。いかがですか。この荒削りなテクスチャが総菜の彩りを引き立て、緑が輝いています。ちょっと遠目で見るとまるで陶芸のごとき風合い。さらに優れているのが、この芳ばしい香り。食欲を一層かき立てます。

 失敗の一粒ひと粒は、こうして、魯山人の器のごとき輝きをもって生まれ変わった、と言えるでしょう。

 さて、この世の中に失敗なんてあるのだろうか。そんな自己の正当化をたのしんだひとときでした。

 

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荒削りな肌と深い色味が、菜の花の緑を引き立てる。芳ばしい一粒ひと粒の米が、そっと見守るように包む。

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せっかくなので、床の間に.。この侘び感がよく似合う。

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ヴィーナスと共に。荒削りな器の縁に対極して、きれいな曲線を描く底部。土鍋のやさしい底の形状をそのまま反映している。高台がないが、ヴィーナスの頭上では安定感をみせた.



 

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