tomsuma

富山県在中、北海道出身のアーティスト。いつもラブ&ラフのある世界を目指し、アート健康器具をはじめ、デザイン、企画、コピーライティングなど、アート全般において活躍。

たてもん。

『だら』は北陸で1、2を争う主力方言であることを知りました、トムスマです。
まだまだ無知な新参者です。
前回、三択問題について書きました。
しばしの間、私が軽やかにむちうち症だったその理由について、
(A)寝違えました
(B)自転車で田んぼに突っ込みました
(C)曳山に登りました
上記のどうでも良い予想をしていただけましたでしょうか。
正解は(C)曳山に登りました、ためです。

 季節は5月に遡ります。岩瀬ではこの頃「曳山祭り」で町が忙しくなります。初めてこの祭りを知ったのは昨年。はっきり言って衝撃でした。

 日常をとりまく周波数とは明らかに違う音色が聴こえてきたので、何事ぞと思って家を飛び出ましたら、細い道に、なんとも凄みを漂わせた極彩色のモノが、角から姿を現したのであります。その凄いモノは路地から溢れそうな程軒先ギリギリに、ゆっくりと目の前を通り過ぎていきます。ぎゅぃぃぃという音を聴きながら私は白昼夢を見ている者のように立っておりました。それが、「たてもん」と呼ばれる飾りを付けた曳山との、未知との遭遇でした。山を曳く男の人たちの唄は異様に美しく、可憐なお囃子と凄まじい曳き合い、その対極が同時進行で繰り広げられる状況に再び唖然としたまま、私の初めての曳山祭りは終わりました。

 そうして一年が発ち、今年、たてもんに鳳凰を描くという光栄な時間をいただいたのであります。仕事を終えた後、町内の方々は毎日公民館へやって来て夜遅くまでたてもんを描きます。私が住む福来町は岩瀬の中でも首位を争う小さな町で、したがってなかなかの、というかちょっと引くくらい大変な作業量であります。

 たてもんは毎年変わります。コンセプトも語呂合わせも絵も何もかも一から造ります。こんな大変な行事によくもこのけったいな新参者を仲間に入れてくれたものだと、町の人の懐の深さを知ったのはもっとずっと後のことでした。
 絵を描くその横を子どもたちが走りまわり、ご長老方々から呑んだ方が良いもん描けると酒という気付薬を頂戴し、時折ヤジを飛ばされつつ、時には婦人会の会議の横で筆を走らせ、おまんじゅうを頂いたりしました。各々の個性でもって接してくださるその何もかもが、初めてづくしの私の緊張を取り払おうという皆さんの温かい配慮で、ひしひしと温もりを感じながらの月日でした。
 

 そうしていよいよ祭の日を迎え、山元から「登られ」とお許しをいただき、前日午前2時に描き上がった鳳凰の横に座ったのであります。その先の衝撃については、冒頭の問題からしてご想像に容易いかと存じます。
 実際に参加して初めて、遭遇した時のあの異様な迫力が、毎日の穏やかな日々の中で積もっていく小さな動きの「熱」だということが解りました。年齢も職業も背景も、強烈な個性が絡み合ってあたり前のように過ぎていく時間。
大変で楽しいこの祭りが永く続くように、感謝と願いを捧げます。


100142_01.jpg
公民館の外にて。プロの絵描きではありません。町内の方です。毎年描かれているのでもうその姿が絵になっています。この時の公民館の中は左下の状況です。

100142_02.jpg
昼はお囃子にあわせて町中を曳き回します。軒先ぎりぎりです。
この数時間前の私の様子が右下。高さは2m程ですが、足場が幅30cm弱で、ずっと腰が引けたまま描いてます。そんな意味でもひきやま祭り。

100142_03.jpg
拝啓、山の上から。諏訪神社前にて。激しいぶつかり合いが始まる寸前の様子。対戦を前に、左の避難場所のサインがチラチラと目についてました。
この後程なくして私のむちうちが始まることになります。

Takt会員について レギュラー会員登録 プレミアム会員登録
JCバール mind saito 県広報とやま 大島絵本館 富山まちなか情報ハブステーション[なかもん Web] 〜Nan,Come on!〜 BiRAKU とやま家づくりネット会員募集!
ページの先頭へもどる↑